「・・・三島」
「ああ？なんだ、結衣か。何度言われても煙草はやめねーかんな」
「・・・そんな事、どうでもいいよ」
「？どうしたお前、おかしなもんでも食ったのか？」
「だったらよかったんだけどね・・・はは」
「・・・？？何なんだよ一体？」
「あのね、三島・・・私さ、癌なんだって」
「は？」
「肺癌。いつもあんたの隣で口うるさく言ってたからかな？この歳で癌なんて、シャレにならないよね・・・」
「おま、えお・・・マジかよ！？」
「この前私学校休んだじゃない？あの時ね、実は病院行ってたんだ」
「まさか、最近変な咳してたのは・・・」
「うん、それで見てもらったの」
「手術とか、するのか？」
「ううん、しない。・・・だって、するだけ無駄だもの」
「無駄って・・・お前まさか・・・」
「転移してるって。手遅れ」
「―――――！！？」
「だからね、今日はお別れを言いにきたの」
「お別れって、お前・・・嘘だろ！？」
「あとどれくらい生きられるか分からないって言うし・・・明日から入院するから、今日で三島とも」
「・・・俺の、せいか？」
「えっ？」
「俺がこんなもん吸ってたせいか！？だったら今すぐやめる！二度とこんなもん吸わねえ！お前が治るように、俺ができることはなんでもする！だから！だから！」
「ちょ、ちょっと三島、落ち着いて」
「落ち着けるか！俺は金輪際煙草も吸わねえし、授業もサボらねえし、喧嘩もしねえし・・・だから、嘘だって言ってくれよ・・・」
「あー・・・なんかものすごーく言いづらいんだけど・・・」
「・・・」
「嘘」
「はっ！？」
「はい深呼吸して。今日は何月何日？」
「今日は三月・・・いや・・・ああああ！？」
「そうそう。いわゆるエイプリルフール」
「・・・」
「・・・いや、ごめん。性質が悪かったよね。泣くほど真に受けるとは思わなくて」
「泣いてなんかねえよ。・・・本気で焦ったんだからな」
「うん・・・けど私のことそんなに大事に思っててくれたなんてね」
「！？・・・さっきのは忘れろ」
「いやー、やぶん忘れられないと思う。あはは」
「し、死にたい・・・」
「死んでもいいんだったら、さっきの約束守れるよね」
「約束？」
「煙草、止めてくれるんでしょう？」
「・・・」
「私はこれからもあんたの傍にいるからね、さっきの言葉は本当になるかもよ？」
「・・・」
「そうか、一緒にいる気は無いんだ・・・」
「分かった！止めりゃいいんだろ、止めりゃ！」
「よーし。他のも守ってくれる？」
「で、できる範囲でな！」
「うん・・・できるまでずっと見ててあげるから・・・」 |
