今は昔、まだ神さまと人々の距離が今より近かったころのお話です。 そのころは毎月一度の祭日があり、人々は八百万の神さまと交流し感謝したものです。 そんな中、一人の女神がおりました。 その女神はあろうことか、人間の若者と恋に落ちてしまったのです。 しかし男には兵士としての、彼女にも女神としての役目がありました。 この二人が会うのは月に一度の祭日だけだったのです。 それでも幸せに過ごしておりました。
それは太陽が照りつける六の月の祭日のこと。 その男は、敵の奇襲を受けてあっけなく死んでしまいました。 祭日には休戦をするという神への誓いを、敵が破ったからです。
女神は非常に嘆き悲しみました。 そして他の神々に、彼が死んだ日を祝うのは耐えられないと訴えました。 それを他の神々が了承したため、六月には祭日が無くなったのです。
六月になるとよく雨が降るのは、その女神が泣いているからなんですって。 |